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『ムラの療養士』という仕事

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今年でムラに関わり18年となりました。
地方創生という言葉なき頃より、ムラたび(グリーンツリズム)、ムラ市場(マルシェ)、ムラガール(外部人材)、ムラプロジェクト(大手企業との連携)など、時代に先駆け、ムラを応援すべく九州にて様々な取組みをやってきました。見映えだけのイベントや都市視点のコンサルやデザイン先行によるハード展開に流されることなく、まずはそこに住む地域住民を主体にした取組みをどう立ち上げ、育て、事業にしていくかというソフトな視点が重要だと思っています。

〝コンサル〟という称号は〝すぐ来ん(コン)、すぐ去る(サル)〟と揶揄されように、地域から見るとどことなく、ドライな、ビジネスライクな存在のような気がしており、自分の中ではずっと〝地域活性コンサル〟という職業、言い方に違和感を感じていました。今回、自分の活動を表現する称号として〝ムラの療養士〟という言葉を使っていくことにしました。〝ムラの療養士〟として地域に関わっていくときの大まかな流れを以下まとめてみます。

ステップ 1;ムラ風調査~風土、風景、風味、風習、風俗、風格、風評といった地域固有の資源を洗い出す。
ステップ 2;ムラの遺伝子探し~ムラの物語、地域資源から地域住民が誇りに思う地域の根底に流れるものを言葉で表してみる。
ステップ 3;ムラあるき~地域住民とともに実際にムラを歩き、五感で感じて初めて見えてくるものがあり。
ステップ 4;ムラのビジョン策定~地域の強み、弱み、中核組織、リーダーなど鑑み、まずは3年後の目指す将来像を地域と共有。
ステップ 5;ムラガールの支援~地域おこし協力隊など外部人材の積極的活用。
ステップ 6;ムラにインバウンド!~外国人の目による日本の文化の再発見、再評価。
ステップ 7;ムラたび九州との連携~九州におけるツーリズム実践者の有志が立ち上げた組織を活用されたし。
ステップ 8;民間企業とのムラプロジェクト(出口戦略)~旅行会社、ネット通販、メディア、大手企業との架け橋に。
ステップ 9;ムラの生業応援団(=農村版DMO)立ち上げ支援~稼げる中間支援組織を!
ステップ10;ムラの景色、魂を次世代に繋げる支援を。

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【ムラを拓く】移住施策について思うこと

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ここ数年、移住定住に関するご相談が自治体さんから増えてきています。
農林水産省の「田舎で働きたい!」および総務省の「地域おこし協力隊」の導入のお手伝いをさせていただいている中で、移住定住についていくつかお話したく思います。

まず、ヨソからのIターンやUJターンといった移住定住を増やしていくという人口増の施策=〝成長戦略〟はもちろん大切ですが、日本全体人口が減っていく中で、限られたパイを奪い合うことは、かなり厳しい話です。同時に、今住んでおられる方々を、最後まで元気に住み続けてもらうという流出させない施策=〝成熟戦略〟もきわめて重要と思っています。地域の高齢者の経験、知恵を活かしていく交流事業の推進などは、成熟戦略の一つと言えるでしょう。

それと、成長戦略であるヨソからの移住定住促進については、都市部での説明会、イベント開催、移住定住プロモーション用のパンフレット、動画、HPの作成、お試し滞在ツアーの実施、移住定住相談窓口の設置、空き屋バンクの推進など通常の取り組みついては、どこの自治体さんもやっておられます。ただ、現実には、なかなか成果が上がってきていないのではないでしょうか。
特に空き屋バンクには、なかなか登録数が伸び悩んでいるという自治体さんも多いはず。

実は、〝都市部への働きかけ〟以上に大切なのは、〝地域への働きかけ〟なのです。ヨソからの移住定住者にとっては、新天地となる地域で暮らす地域住民の意識が肝となってきます。お世話役になってくれる地域住民の存在は、心強いものです。そのような地域住民を一人でも多く育てていくためにも、〝地域づくり〟が欠かせないのです。

その地域に個性に合わせた地域づくり、地方創生の取り組みによって、地域住民の意識も開かれ、そのことが、ヨソ者も受け入れていくことにつながっていきます。さらに、都市農村交流=ツーリズムや地域の六次産業化といった都市部相手の展開については、まさに都市部からの移住定住者の仕事の場も創っていける可能性も広がってきます。

移住定住担当の地域おこし協力隊を導入する自治体さんには、このような視点から、
移住定住の通常業務ミッションとは別に、地域づくりをミッションとした隊員の導入をご提案しています。

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【ムラを拓く】九州のムラ流 地方創生考~地域おこし協力隊編~

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総務省の「地域おこし協力隊」、農水省の「田舎で働き隊!」の制度を活用し、ここ6年間で九州・山口にのべ184名程(地域おこし協力隊40名、田舎で働き隊短期114名、通常30名)の導入のための、地域との調整、募集の手伝いを行ってきました。

地方創生の柱の一つである「人材の確保」の手段であるこれらの制度、
特に最長3年間、地域活性のミッションを持って都市部から住民票を移し移住・定住して本腰を入れて取り組むことができる「地域おこし協力隊」制度について、これまでの経験をもとに制度を活用するにあたってのポイントをまとめます。

これから導入とされようとしている自治体のご担当の方、既に導入されている自治体の方々、それとこれからこの制度を活用し、地域に入っていこうとされている方々も参考の一助になれば幸いです。

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【導入までにすべきこと】
実はここが一番大切な部分。
地域おこし協力隊員が関わることとなる地域側と事前にしっかり話し合いを行い、地域のビジョンを共有できているかが大切です。
いざ着任した際に「何しにきたっちゃろ?」「役所の名刺持って、お金貰って、何しようかよう分からん」からスタートするのは辛いことです。そうならないためのポイントは—–

 1.重点地域、重点テーマの選定
3年後の仕事を考えた時に、どの領域でかれらが仕事をしていく可能性が高いのか、その際に、中核となる組織、地域リーダーがいるのか、今まで行政の各部局がやってきた事業などを判断し、可能性の高い地域、領域をまずは見極めること。

 2.中核拠点の選定
3年後に独立し起業していくことはやはりハードルは高い。まずは地域の資源(食、観光、人材、自然など)を活かし、六次化を進めていくところの拠点にかれらが関わり、伸びていけば、そこに仕事はある。そこに1年目から出向ということも視野に入れて。
 3.地域住民との集落ビションの策定
地域の課題、強み、弱み、将来進むべき方向などワークショップを重ね、地域の将来図を作り込んでいく。その中で外部人材の必要性、かれらに取り組んで欲しいことが浮き上がってきます。
(募集について)・・・今や地域おこし協力隊はいい人材獲得競争の様相が。募集にはやはり手間ひまかけて、それでも昨今は採用に苦慮してきてます。

【マッチングにおけるポイント】
 4.業務内容は絞り込み、ピンポイント人材を募集
その方が募集広告も訴求力が上がります。昨今は六次化プランナー、カフェ創業スタッフ、海女さん募集など。

 5.募集は有料サイトも活用、都市部説明会なども実施
民間では人材獲得に時間、予算をしっかりかけています。やはりいい人材を採用していくにはやれることはすべてやりましょう。もちろん担当者の熱意も大きな要素。

 6.できる限り複数採用を。できればIターン×Uターンの組み合わせで。
どんなにやる気があって優秀な人材も、見も知らない地域に単身で入っていって活動していくことは辛いこと。できれば最低2名、複数採用を。その中で地元出身者のUターン組も是非、地元推薦で声がけを。Iターン×Uターンの組み合わせが更に力を発揮します。

 7.最終面接は地元で

書類選考だけで決めてしまうのではなく、書類選考に残った人材を実際に地域にお呼びし、そこで地元のキーとなる人々の前でしっかりプレゼンしてもらい、同時に地域側も思いを伝え、そこで交流会も行って人となりをじっくり見ることが大切。この儀式があれば、お互いに「やろう」という気持ちが上がってきます。

【着任後のポイント】
採用してからの初動、特に1年目が大切。3年間はあっという間に過ぎてしまいます。通常は1年目は地域の人たちの名前と顔を覚えるのが精一杯、二年目やっと具体的な活動に、3年目は卒業の進路が見えず焦る というパターンに陥ってしまわまないためにも、自治体がしっかりフォローも行っていきましょう。

 8.採用までは企画部署、導入からは実行部局預かりに
例えば六次化プランナーでれば、農林部局に着任し、そこから農事生産組合、農産加工部などに出向、観光関係の仕事であれば観光部局から観光協会などに出向させるなど、任期中にその部局の事業もかれらと一緒に取り組んでいくよう、積極的に支援を行ってください。

 9.外部アドバイザーも積極的に活用を
総務省の地域創造力アドバーザー(自分もその一人ですが)登録リストも参照の上、第三者のアドバイザーも入れることも有効。行政の嘱託職員という立場でありながら、3年後は民間人として地域で働き、移住定住し続けていかねばならないという行政と民間の中間的な存在としての「地域おこし協力隊」には、自治体とは一線を置くアドバイザーの存在も大切ですので。

10.3年間の年間スケジュール、事業計画を立てる
民間では当たり前のことですが、隊員一人一人の能力、やる気も見極め、当初計画した集落ビジョンでの3年後の方向性を常に修正し、より実効的な計画に落としていくことが必要です。是非3年後には地域活性の中核人材になってもらうべく、3年間を有効に。   (ヨーフ)

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【ムラを拓く】 九州のムラ流 地方創生への10の提言(観光地域づくり分野)

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これから求められるのは、従来のイベント型観光ではなく、滞在交流型という地域づくり型観光。18~19年ムラを歩きながら得た「九州のムラ流 地方創生への10の提言」を。

1.「ムラを歩く」ということ。

地域には様々な地域資源があるが、ムラを歩かないと見えない世界がある。また、その際重要となるのがよそ者の視点入れること。地元の人には分からない良さもあることから、地域おこし協力隊や移住者、メディア等、よそ者の視点を入れながらムラを歩くことが大事。

2.「ムラの遺伝子を知る」ということ。

最近はどこの地域も地方創生、地域活性化のために商品開発やツーリズムのプログラム開発等に取り組んでいるが、その地域の顔が見えるものではなく、他の地域を真似てつくっているものが多い。そうならずに地域ならではのものをつくるためには、ムラの遺伝子を知ることが重要。

 3.「ムラのキーマンを見つける」ということ。

最初に誰と組むかは非常に大事。必ずしも区長である必要はない。地域の人と接しているとキーマンは誰か分かってくる。行政は平等主義のため平等にしか声をかけられないが、それではうまくいかないので、そこは民間に協力してもらうとよい。

 4.「ムラ会議(ブレーンストーミング)を重ねる」ということ。

ムラの会議は時間がかかるが、何回もブレーンストーミングを重ねることで、だんだん地域の遺伝子が見えてくる。ムラの会議には、行政の方も積極的に入っていくとよい。

5.「ムラビジョン(先ずは3年後)を描き、共有する」ということ。

一番大事なことは、ムラのビジョンを描くこと。ムラのビジョンがなければ、地域おこし協力隊の人も何をやってよいか分からない。ムラの遺伝子が分かり、ムラの個性や強みが分かり、キーマンが分かり、動かす組織も分かれば、次に何をやるのか、ムラをどういうところにもっていきたいのかの作戦会議をし、先ずは3年後のビジョンを描くことが大事。その際、ここの部分はできない、議論がないなど、無いものが見えてくるので、人がいなければ外部人材を活用するなど、無いものを埋める作業をすればよい。

6.「ムラとマチ(外部人材)を繋げる」ということ。

地域住民を巻き込んで地域づくり型観光を進めていくためには、ムラは世界と繋がり、行政と繋がり、メディアと繋がっていかなければならず、それをコーディネートする組織・人材が必要となる。しかし、集落にはこういう機能をもった組織がなかなかないため、コーディネーター組織、人材として外部人材を入れることが大事。特に、起業家マインドを持った人を入れるとよい。

7.「ムラの新たな生業の素を創る」ということ。

マチの人がお金を払いやすいのは食で、食のブランド化を図るためには地域に来てもらうことが一番早い。「観光」と「食」は、これからのムラの生業のテーマとしても大きい。そして、その時に重要であるのが、地域の遺伝子に基づいた観光商品、産品をつくってもらうことである。

8.「ムラなく、小さな成功体験を積み重ねる」ということ。

外国人観光客を100人受け入れるなど、いきなり大きな成功体験をするのは難しい。まずは、モニターツアーの実施、テスト販売など小さな挑戦から実施してみる。小さな成功体験をどれだけ継続して積み重ねられるのか。集落の場合、なかなか動かないため、ここからはじめるのが大事。成功体験を積み重ねるうちに、地元実践者たちに火をつけていく。

9.「ムラの6次産業化拠点を育てる」ということ。

お金がまわらないと動かない。6次産業化の拠点候補地として、観光協会、第三セクター、道の駅等、既にある組織を活用するのもよいし、地域おこし協力隊が起業するなど外部人材を活用するのも良い。

10.「ムラの魅力を海外へ発信する(新たなマーケットの創出)」ということ。

勇気ををもって、ムラを世界に発信・解放すべき。2020年に向け、海外の日本ブームは続いていく。しかも今後は、決まりきった定番ルートではなく、より日本らしい、より日本の魅力にあふれている農村漁村も大きな可能性がある。
自分が関わっている鹿児島県薩摩川内市入来集落の「サムライ・ツーリズム」や長崎県東彼杵町の「グリーンティーリズム」、広島県府中市上下町の「ニッポン体感ツアー」などでも、これからインバウンドの受入れに向け準備中である。

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【ムラを拓く】 地方創生について思う事・・

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先日、長崎県の次期総合計画の懇話会なる会議に出席した。

今回、自分は「地域づくり部会」の専門委員の一人として長崎県民ではないもののお声がかかり、数回にわたり会議を行い、長崎県総合計画の素案づくりに微力ながらご協力さしあげた次第である。

昨年の大分県の「人口減少研究会」の会議も同様に、県の企画部局が事務局となり、県知事もご参加され、県の施策の行く末を決める重要な会議であった。

これらの会議は、まさに「地方創生」の流れを受け、県としての方針を打ち出すための将来ビジョンを描いたものである。

自分の役回りは、「移住・定住」「交流」「地域づくり型観光」「六次産業化」といった今まで自分が携わってきた領域について、各県の強みを踏まえて、ご意見申し上げることである。

この地方創生に向けての計画づくりの段階は、各自治体が総力を挙げて作りこんできた。国も拍車をかけるべく、頑張って早く作成した自治体には更なる交付金を用意し、ソフト面でも応援を行ってきた。

都市部のコンサル丸投げの計画づくりではなく、まさにこれからが地域の知恵を結集しての地方創生が試されることとなる。

 

移住定住については、日本全体で人口が減っていく中で、右肩上がりの計画を作り続けることは無意味であり、新たな産業、生業、コミュニティビジネスといろんな言い方はありますが、仕事を創出し、他所からのIターンを増やしたり、それだけではなく、できれば一旦他所に出てしまった子供たちもUターンで帰ってくるということも含めての成長戦略、そして大切なことは、今住んでいる人たちをなるべく最後まで生き活きと余生を全うしてもらうという成熟戦略も同時に展開していくことが重要となってきます。

 

行政の役割、得意なところは、計画を策定し、予算をつくり、施設などのハードを作っていくこと。逆に苦手なところは、頑張っている人、地域を個別に吸い上げ、試行錯誤しながら。まさに事業を育てていくというソフトの部分です。自分が関わる部分は、まさにこのソフトの領域です。

自分の地域づくりのやり方は、規格化、パッケージ化されたスマートなやり方ではなく、地域住民とも膝を突き合わせ、何回も何回も会話を重ね、行きつ戻りつ、でも確実に小さな成功体験を重ねながら、一歩一歩前に進むというやり方です。

 

自分が思う地方創生のポイントは『誇り』と『人』、そしてに『マーケット』です。

金太郎飴的な絵に描いた餅の計画ではなく、そこに住む地域の人たちが自信を持って、“これこそが自分たちの地域のやり方、やること、進むべき道だ”と思えるためには、その地域の遺伝子(DNA)をしっかりと見据えることが重要です。他所から借りた成功事例をいくら持ち込んでも意味がありません。地域が誇りをもって語れるものに必ずヒントが潜んでいるはずです。

 

“バカ者、ヨソ者、若者” 昔から地域づくりに必要な要素として語られますが、もう少し自分なりに解釈すると、最初のバカ者は、一つには地域住民の中に、二つは行政マンの中にも欲しいもの。ヨソ者については、今の時代であれば「地域おこし協力隊」「田舎で働き隊!」などの国の施策も活用し、戦略的に入れていくべきもの。自分が提唱する「ムラガール」たちも火付け役としてはもってこいですが。交流の積み重ねの中で、ヨソからの移住・定住もつながっていきます。「若者」は、これら他所からの移住定住の中からも現れるものですし、もちろん彼らから刺激を受けて、地元若者たちも徐々に表に出てきます。

 

地域の自然、食、技、農産物など、地域にある資源を、どこにどうつなげるのか。本来は地域がそのマーケットに直接つながることが望ましいですが、多くの場合、媒介なる存在が必要となります。旅行にしろ、広告にせよ大手代理店は必ずしもベストなパートナーとはなりえません。薄利多売な業界では、大量に送り込んでという発想が主流に。そもそも地域はそれを受け入れるキャパシティはありません。

大切なのは大量に安く売ることではなく、しっかりとしたコンセプト、物語のある商品を、評価してもらうお客さんと繋がっている媒介の方々とのパートナーシップでしっかり売ることです。しかもマーケットは、国内の都市部に限らず、世界を目指すべきだと思っています。

今回、長年ご愛読いただいた「九州のムラ」も12月には「Nippon ノ MURA」となり、日本のムラの素晴らしさ、価値を世界の方々にも伝えたいという思いを込めて、創刊します。この話はまた別の機会に、ゆっくりと。(ヨーフ)