今年度から広島県事業で府中市にある「上下(じょうげ)町」の観光地域づくりのお手伝いをさせて頂いています。
大森(石見)銀山からの銀の集積中継地として栄え、代官所も置かれた幕府直轄の天領地。ちょうど今NHK朝の連続テレビ小説「朝がきた」でも取り上げられている「両替商」で栄えた歴史を持つ地域。
その昔は砂鉄もとれ、世界が銀本位制度の時代は石見銀山が牽引していた時期には、街道筋のこの町の旦那衆が金融業を興し、全盛期は33もの金貸し屋があったそうです。維新の前には江戸幕府に約30億、そして維新後は新政府にも約10億もの貸付をしたにも関わらず、江戸、明治、大正、昭和を生き抜き、後の広島銀行の祖となる程、日本の経済を担ってきました。その名残は、時代毎の建造物群が残る白壁の町並、家々に残る輪島漆器や古伊万里焼きなどの調度品、そしてこの地に暮らす人々の品格に垣間見ることができます。
5月から「上下町づくり協議会」の皆さんとフィールドワークやワークショップを重ね、地域資源の深堀と地域のコンセプトづくりを行ってきました。
その一環として、歴史的建造物に造詣の深い、九州九州大学大学院芸術工学研究院の藤原恵洋教授を招聘。町に残る建造物の歴史的価値を学び直す機会も得ることができ、皆さん改めて自分達の住んでいる地域の価値を大切に守り・活用していこうと士気も高まっていったようです。
この1年間の総まとめとして、11月にはトライアルモニターツアーも開催。在日歴も長く写真家としても著名なエバレットさん、スイスからの留学生で着物好きなキャロラインさん、そして建築家、写真家、通訳ガイド、旅行会社、移住定住など各分野のプロフェショナルたちに参加頂き、「上下のジャパンツアー」の可能性調査を行いました。
歴史のある町を舞台に、参加者も江戸時代にタイムスリップ。
大正末期につくられた劇場「翁座」は、やはりこの地域のカオとなるべき存在。
各分野の専門家からのアドバイスに地域の皆さんも感心しきり。是非、この機運を大切に今後に繋げていきたいと思います。(ヤス)