【報告レポート】老舗の温泉旅館で”仲居さん業”を学ぶ(熊本県人吉市)

2021年11月、熊本県人吉市で「ムラ暮らしインターン」が開催されました。その様子を動画と写真でレポートいたします!

※ムラ暮らしインターンは、田舎暮らしや就農希望者に関心の高い方々に「農山・漁村を知ってもらう」ことで、将来的に農山漁村で農林水産業に就業するためのきっかけづくりを行うプロジェクトです。

 

▼動画で見る人吉市の「ムラ暮らしインターン」

 

▼“熊本県人吉市”ってこんなとこ

今回研修が行われた人吉市球磨地方は、三大急流・球磨川が流れる盆地で熊本県の南西部に位置します。このエリアは鎌倉時代から明治維新まで、約700年にわたり領主相良氏が統治した土地で、 日本史上稀な「相良700年」と称され人吉球磨の文化の礎を築いたとして日本遺産にも認定されています。また民衆の手で守られた地域遺産「仏教美術」や、焼酎と遊びと民俗文化が息づく「暮らしと文化」などが有名な地域です。

球磨川沿いには、ホテル・旅館をはじめ、公衆温泉も数多くあり、天然温泉を気軽に楽しむことができます。それぞれに泉質や温度が違うため地元の人は自分好みのお湯を選んで入るとか。また、地元出身の漫画家・緑川ゆきさんが描く『夏目友人帳』には、人吉球磨をモデルとする描写も多く、全国からファンが聖地巡礼に訪れます。

 

 

 

▼研修先/「人吉旅館」

今回の研修先は国登録有形文化財の「人吉旅館」で行われました。人吉旅館さんは2020年7月の豪雨災害により木造の建物は甚大な被害を受けましたが、人吉旅館の復興が人吉市の復興にも必ず繋がっていくと信じ、2021年10月1日より2階客室のみのプレオープンで再開。自慢の温泉は掛け流しの天然温泉で、「美人湯」としても人気の旅館です。

 

▼研修内容

研修は、人吉旅館さんで実際に温泉旅館の中居さんとしてのお仕事を経験して頂きました。朝食の準備・配膳、夕食の準備・配膳の他、お客様のお見送りまで。リアルな中居さん業務を行う1日約7時間の就業研修の他、地元で農家民宿を運営されている方との交流なども行ないました。

 

 

▼参加者コメント

参加者の皆さんからはたくさんの感想をいただきました!
仕事の魅力、地域の魅力、一部ですがご紹介します。

【仕事の魅力】
・飲食店でアルバイトをしていますが、同じ接客業でも旅館のおもてなしのありかたは全く違う、という印象を受けました。お仕事だから、という気持ちではなく、「ここを好きになってもらいたい」「楽しんでほしい」「来てくれてありがたい」という気持ちから動くことができるのは、この地域でのこの仕事だからこそだと思います。お客さまの近くで、地域の良さを直接的に伝えられるお仕事だなと思います。

・お客様との距離が近いため1人1人の方によいサービスを提供できると共に自分自身のコミュニケーション能力の向上や、心をこめて行う接客について学ぶことができました。自分自身で工夫をしながら接客できることや、直接お褒めの言葉も頂けるため、モチベーションを保って仕事ができるのだと実感しました。

 

【この地域の魅力】
・人吉という名前や旅館、地域のみなさんの言葉のとおり、「人」が本当に魅力的だと感じました。地元の方々が「何もないでしょう」と言いながら、この地域のことが大好きなのが伝わってきて、人々に愛されていると思います。隠れ里という表現がふさわしいような、水と食べもの、雰囲気であふれたところでした。

・何より、人も地域も環境も、すべてにおいて優しく暖かい空間が広がっていて、人とのつながりを感じることができました。歴史や文化も多様なため、知識も増やせます。自然も豊かで、川が美しい。夏目ファンには絶対に訪れてほしい。他の地域から来た方を心よく受け入れてくださる場所です。

 

【全体的な感想・学べたこと】
・人吉に来ることができて本当に良かったです。いつか来たい、という気持ちだけで、なかなか来ることが難しい地域だったので、今回の研修は大変貴重な機会でした。私は接客が好きでもフォーマルな接客?が多く、お客さまと沢山話すのは苦手でした。また日常でも心から交流することができなくて、何か距離を感じると言われることが多く悩むこともあったのですが、今回、そんなに気張らず人と話しても大丈夫だと感じることができて、私なりに心から交流を楽しむことが出来ました。一緒に働いた方から学んだり、元気づけられることもあり、社会人になる前に参加できて良かったです。ありがとうございました!

・人吉旅館で仲居さんのお仕事を通じて、地方での旅館の仕事が大変であることを身を持って感じました。食事の配膳のみではなく、人数が少ないとベッドメイキングなど他の仕事も行わなければならないため重労働な仕事です。しかし、お客様1人1人のことを考えて「おもてなし」の心を中心に、お客様と大変近い距離での接客を行うことでニーズを超えたサービスを提供することができるし、お客様1人1人に「おもてなし」することは大変気づかいが必要であり、簡単なことではないため、先輩仲居さんの接客の仕方は大変勉強になりました。滞在中には人吉の町を周り、地域の暖かさ、人と人とのつながりの大切さなど、人間性を高めることもできたと思います。大変充実した時間を過ごすことができました。

 

▼受入先コメント

当旅館はスタッフが不足していることが切実な問題でもあります。その中で、この企画に参加して、周りからの反響もとてもいただきました。研修生と一緒に仕事をしていると旅館のスタッフたちも生き生きとし、教える楽しみも感じながら喜んでいるような感じがしました。この一週間は本当に、みんなで一緒に楽しくできたんじゃないかと思います。

離れる時はとてもさみしい想いもしたりしました。でも、きっと、人吉というところで感じた思いは、いつかあのお母さんがいる故郷のような実家のような場所があったな、という気持ちになってくれるだろうと私は信じています。またのチャンスがあったら是非またお越しくださいね 。

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